小田原箱根商工会議所は、小田原・箱根の企業を応援しています。


2023年 10月号

人手不足の世の中に

 人口全体が減り高齢化が進む中、生産年齢人口(15歳~65歳)はどんどん少なくなっています。人手には、働き手の数が足りないという労働力と、経営に近いところを担う高度人材という二つの側面があるように思います。
 
 特に後者について、私たち中小企業の経営者は「うちの会社にはできる社員がいないんだよな」とか「うちにはいい人が来てくれないんだ」とかついつい愚痴を言いがちです。どうしたら「いい人」が来てくれるのでしょう? 「いい人」は「いい会社」を選ぶのではないでしょうか。輝いていない会社や店には輝く社員は来ないと思うのです。ない物ねだりをする前にやるべきことは、まず、今いる社員さんを輝かせる努力ではないかと思うのです。今はまだちょっと物足りなくてもいいところを持っている可能性を感じる社員はいるはずです。その人に成長する機会を与えることも大切なのではないでしょうか? 
 ということで(株)湘南ベルマーレフットサルクラブとの連携事業の第二弾としてB-SHINEというプログラムをスタートします。社員をSHINE(輝かせる)という思いを込めた研修プログラムです。各社から出していただく社員さん25名とベルマーレのインターンの学生さんとで5つのチームを作り、そのチームで2ヶ月に亘る勉強と活動を通して、ベルマーレが投げかける当地の社会課題をどう解決するかのプランを作り上げるという内容です。一人15万円の費用がかかります。ベルマーレが提携しているこの手の研修に特化し実績のある会社から派遣される講師陣がきびしくやさしく指導してくれます。私たち中小企業では会社の規模故に、社内での自前の研修が不十分になりがちです。このB-SHINEを通じて、他社の社員と他流試合で切磋琢磨するいい機会になります。投資効果は期待していいと思います。ぜひ、この人はと思う社員さんをこの研修に送り出してください。
 
 もうひとつは副業人財の活用です。いろいろな側面で大企業と我々中小企業の格差がますます広がっています。特に人財は。大企業では、賃金を上げ、多様な働き方を提供しています。一方、中小企業はなかなか賃上げができず、毎日決まった場所と時間に来ないと駄目と言っていると、いい人材はなかなか集まらない。というのが実態ではないでしょうか?
 POSTコロナでイノベーション、つまり、仕事の仕方の刷新、さらには従来の事業の再構築や新規事業への取り組みが求められる今、これまで自社で培ってきたノウハウと人材だけで勝負できるかというとなかなか難しいというのが中小企業の実態ではないでしょう。
 とはいえ、それらを担ってくれる優秀な人材にいきなり年収1千万とか2千万との高給を支払うことも難しいし、そもそも来てくれないという現実の中で解決策のひとつが「副業人財の活用」ではないかと思ったわけです。
 まずは当所でやってみようと、昨年度は3名、今年度は2名の副業人材を採用したことは報告の通りです。大企業(必ずしも大きな会社ばかりではありませんが)に勤めながら、リモートとリアルという勤務形態を組み合わせて、雇用関係ではない業務委託という形で、課題解決のお手伝いをしてもらいます。所員にとっても所外、域外の視点を学ぶことがいい刺激になっているようですし、何より、一般のコンサルにありがちな高額の提案書を提出して終わりではなく、所員と併走してより具体的に動いてくれることがいいところだと思います。
 この取り組みを通じて、報酬というより、「面白そう、地域の仕事に興味がある、小田原箱根が好き、新たなネットワークが作りたい」などのモチベーションで自分のキャリアを磨きたいという優秀な人財がどんどん増えていることを知ることになりました。彼らは働くということに新しい価値観(自分の能力を社会課題の解決にどう活かせるかという物差しで仕事や会社を選ぶ)を持ち、それを実践する働き方を選んでいます。そういう人財を中小企業に迎えるにはどうしたらいいかと考えてきました。
 そして、このたび、行政の協力を得て新たな仕組みをスタートする運びになりました。DXと業務改革、商品開発の促進、マーケテイングの刷新、新規事業の企画、人事制度の見直しなどが課題だという方、あるいは、経営上の相談に乗ってくれる人が欲しい方など、困りごとがあればぜひご利用ください。社内だけでは得にくい知恵を、コストを抑えつつスピードを上げて、手に入れるいい方法だと思いますので。

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