小田原箱根商工会議所は、小田原・箱根の企業を応援しています。


2024年  5月号

誇りを持って

 コロナが収まりつつある中、会社間でその業況の明暗がはっきりし始めているように思います。ゼロゼロ融資の期限が切れ、苦境に陥っている会社と、事業の見直しや新規事業で商売を伸ばしている会社と。
 コロナが勃発した当初、私は会頭として会員の皆さんに呼びかけました。「手元にお金を置きましょう。いただける休業補償金や補助金、貸していただける融資は積極的に使いましょう」と。釈迦に説法ですが、会社は損を出してもにわかには潰れませんが、お金がなくなった瞬間に倒れますから。それらの緊急的な資金を入れることによって多くの会社が一息つくことができたことは事実です。問題はその後の行動です。そのうちコロナも収まるからと言ってじっと待って、手を打たなかった会社と、とりあえず今日の危機を逃れたので、明日からコロナからの学びを活かしてどうすべきかと考え行動した会社と。
 コロナは百年の一度と言われる大きな変化です。その変化をどう捉え、どう行動するかという変化への対応力が経営の力だと改めて思い知りました。考えてみれば、コロナほどではないですが、大小様々な変化は日々起っています。アンテナを高くして変化を捉え、変化からの学びを活かした次の一手を考え実行することの重要性を改めて感じています。
 
 同時にもうひとつ大事だと思うことは、「遠くを観る」ということです。私たちは未来に向かってどういう社会で暮らしたいのか、その社会の実現のために自分の仕事、会社はどう貢献していくのかを問い続け、行動すること。今風の言葉で言えば、企業理念であり、パーパスであり、ビジョンであり、ミッションでありましょう。
 「経済」とはそもそも「経世済民」。「世を治め、民を救う」ための仕組み・道具であるはずです。金とモノとの交換とその周辺の活動や投機のようなマネーゲームが経済だという誤った認識がはびこっています。経済とは決して単なる金儲けの話ではないはずです。残念なことに、今、貧富の差が拡大し、貧困が広がり、それが社会の分断を招いています。
 本来の意味の経済の出番だと思います。だからこそ、日々の経済活動になりわいとして携わっている私たち地域の中小企業は、地域の暮らしの血流である地域経済を下支える存在として、誇りを持って本来の経済活動を進めることが必要だと思うのです。
 持続可能な地域は持続可能な経済の力で。変化に対応しつつ、あるべきところを目指して。
 
 

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