小田原箱根商工会議所は、小田原・箱根の企業を応援しています。


2024年  11月号

地域経済の好循環はエネルギーで

当所が担うべき役割として掲げている2つ、
1.個々の会員企業さんの商売繁盛のお手伝い(資金調達、経営相談、人材、事業承継、創業支援など)と2.地域の中小企業が頑張れる環境を整備するという意味でのまちづくり(行政に対しての要望活動、食、スポーツ、海を活かした取り組み、小田原箱根大博覧会など)のうち、今回は、2.のまちづくりで大切にしていること、「地域で廻るお金を増やし、そのスピードを上げる」の具体的な方法のひとつとして、エネルギーを取り上げたいと思います。

日本商工会議所が提唱する「地域経済の好循環」へ貢献したいと考え、先日、「地域経済の好循環はエネルギーで」という小文を日商に提出しました。以下はその概要をまとめたものです。全文はHPにアップしておりますので、ご一覧ください。https://www.odawara-cci.or.jp/information/20241106.html


1.エネルギー支出は地域経済の大きなコスト要因
この国の経済の大きな問題点のひとつはお金が循環していないことです。マネーストックは、積極的な財政支出により順調に増加の一途を辿っていて、よくお金はジャブジャブと言われますが、地域の中小企業にはその実感はありません。大企業や海外に偏在するお金を地域へ呼び込み、漏れ出すお金を減らし、地域で廻るお金を増やすことが重要です。そのうちのエネルギーコストは大きく、人口19万の小田原では年間400億円の電力料金が域外に流出しているという試算もあります。エネルギーへの取り組み、つまり、省エネと再生可能エネルギーの地産地消は地域経済の好循環につながります。

2.地域の中小企業がエネルギーに取り組むべき3つの理由
地域の中小企業がエネルギーに取り組むべき3つの理由をお話します。
まず、環境問題です。気候変動・脱炭素は今や中小企業ともいえども避けて通れない商売の根幹を揺るがしかねない人類共通の課題です。
二つ目は経済問題。 地域経済を下支えする中小企業が活躍できるためには地域で廻るお金を増やすこと、そのために省エネと再生可能エネルギーの地産地消が有効です。既に支払っているエネルギー支出を減らし、支払い先を域外から域内に変えることは、地域間競争を生まない優れた地域経済活性化策です。
三つ目は個々の企業の経営問題です。省エネによりコストを削減し、エネルギーの地産地消による為替や不安定な国際情勢に影響されないエネルギーシステムは企業の経営安定につながります。
また、全ての企業がグローバルなバリューチェーンの組み込まれている今、ESGやSDGsに対応しない企業は選ばれなくなります。

3.地域でのエネルギーの取り組みを後押しする2つの提案
そこで、地域でエネルギーに取り組むための2つの提案をします。
中小企業の経営者が動き始めるのは「やると儲かる」あるいは「やらないとまずい」のどちらかです。 
まずは、中小企業に対して、国の費用負担による「省エネ診断を義務化」すること。国がGX(グリーントランスフォーメーション)の予算として捻出すると言っている20兆円と150兆円のほんの一部でできることです。未来への向けての新技術の開発と同時に、今ある技術でできることをすべきです。省エネ診断により全ての会社が自社の無駄に気づき、補助金を上手に使って改善することが儲かると分かれば中小企業経営者は動きます。脱炭素は国を挙げての国民運動になるでしょう。 
もうひとつは「地域のエネルギー計画」です。多くの人はエネルギーは国が決めることと思っています。国はエネルギー基本計画を3年ごとに見直しています。どういうエネルギーをどう使ってどういう地域を作るのかはまさにまちづくりの議論です。自然環境、産業構造、人口構成が異なるそれぞれの地域において、ステークホルダーが挙って、考え決めるべきことです。地公体に義務化されている地球温暖化対策計画のエネルギーに関する具体的なアクションプランを政策として策定すべきと考えます。まずは現状のエネルギー消費の現状を把握し、次にそれをどのくらい減らせるか、つまり省エネを、そして、算出されたエネルギー需要をどう賄うかの3ステップです。詳しい内容はHPをご覧ください。
地域経済の好循環につながるエネルギーへの取り組みは、引き続き、「ECHOタスクフォース」を中心に、「エネルギー等公民連携懇談会」を通じて行政との連携を図りつつ、実現に向けて議論と実践を重ねてまいります。
 

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