創業連載
株式会社Fwk(エフワーカー)
船と温泉、異なる世界を一つに。──Fwk大倉伸介氏の挑戦が描く未来
船舶設計という専門分野から、新たに温泉入浴着の開発へ挑戦されています。異業種を横断する視点と行動力で、新たな市場の創出に挑むのが、株式会社Fwk代表の大倉伸介氏(47歳)です。
静岡県出身の大倉氏は、現在小田原市に暮らして13年になります。奥様のご都合で移住して以来、自らのキャリアを着実に築いてこられました。千葉県内の大学を卒業後、渋谷のエステティックサロンで店長として勤務され、営業力やマネジメント力を磨きながら「人に喜んでもらえる仕事」を追求してこられたそうです。その後、祖父が検査官、父が設計士という家系の中で自然と船舶設計の道へ進みました。父が営む設計会社に15年間勤務し、数々の案件を手掛けてこられました。
「いずれは父の会社を継ぐかもしれない。ただ、その前に自分自身の視点で学び、挑戦してみたかった」と大倉氏は語ります。その想いが、現在の事業を立ち上げる原動力になり、起業されたのは昨年2024年の2月です。
大倉氏が手掛けるのは、小型船舶(定員20〜200名、19トン未満)の設計や、JCI(日本小型船舶検査機構)対応業務といった専門性の高い分野です。その技術力を生かしながら、新たな領域として「温泉に入れる入浴着」の企画・開発にも挑戦されています。プロダクト名は「SPAra(スパラ)」で、インバウンド需要の高まりを背景に、外国人観光客をはじめとする幅広い層が温泉文化を楽しめる環境を目指しています。
「外国人観光客の中には、タトゥーを理由に温泉に入りづらい方も多くいらっしゃいます。恥ずかしさを感じず、文化の違いを超えて誰もが楽しめる入浴体験をつくりたい」と大倉氏は話します。デザインや機能性を工夫しながら、国内外の温泉施設への展開を見据えているそうです。目標はまず売上1億円で、その先には日本の温泉文化を世界に広めるというビジョンがあります。
創業にあたっては、当所のサポートを受けられました。
「金融機関とつなげていただいたり、新規事業の相談にも乗ってもらいました。さらに、箱根の温浴施設などにつないでいただき、観光業界との接点も広がりました。補助金の申請についても、今後引き続き支援をお願いしたいです」と感謝を語られます。
「既存事業で確かな基盤を築きながら、新しい挑戦で可能性を広げていきたい。2本の矢を目指すと。」と、大倉氏は熱く語ってくれました。


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