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創業連載

Tridgeおだわら株式会社

教員経験から見えた「部活動のこれから」—Tridgeおだわら・山下捷人さんの挑戦

 
 

 小田原市を拠点に、学校外での部活動支援を行う「Tridgeおだわら株式会社」。2024年にこの企業を立ち上げたのが、山下捷人(やました・はやと)さんです。
大磯町出身の山下さんは、二宮高校、湘南工科大学を経て教員免許を取得。2018年から7年間にわたり、小田原市内の中学校で技術科の教員として勤務してきました。


 そんな山下さんが教育の現場を離れ、起業に踏み切った背景には、教員として感じた“限界”がありました。4年目に異動した際、日々の雑務や部活動指導に追われ、新しい取り組みに手をつける余裕がない現実に直面したのです。
「部活動は残したい。でも先生たちの負担があまりにも大きい。このままでは制度として立ち行かなくなると痛感しました」と山下さんは振り返ります。

 

 山下さん自身、幼少期から中学まではダンス、高校以降はサッカー部に所属するなど、スポーツに親しんできました。そして教職を離れた今、5月からはバドミントン、8月からはソフトテニスのクラブ活動支援をスタート。指導だけでなく、会場の確保や運営面など、裏方のサポートにも力を入れています。
 
 起業にあたっては、小田原箱根商工会議所が全面的に支援。事業が軌道に乗るまでの融資実行までの伴走や、長期の据え置き期間の設定に関するアドバイスを行いました。また、国による部活動地域移行の方針や関連制度の情報提供も行い、スムーズな立ち上げを後押ししています。

 すでに千葉県柏市などでは、部活動の民間委託が進み、地域移行が現実のものとなっています。国も教員の副業としての部活動指導を容認する方針を示しており、実施の可否は各自治体の判断に委ねられています。

 山下さんはこうした動きに対し、小田原でも積極的に連携を進めていきたいと話します。「このまちには、すでに素晴らしい人材や場所、企業がたくさんある。そうした既存の資源と手を取り合い、地域に根ざした形で部活動支援を広げていきたいです」と力強く語りました。

 山下さんが掲げる理念は、「働きやすい、育てやすい、暮らしやすい」まちづくり。現場での経験を活かしながら、教員の負担を軽減し、子どもたちにはより豊かな学びの場を届けたい。その挑戦は、これからの小田原の教育と地域をつなぐ、新たな一歩になろうとしています。
 
 
 
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