小田原箱根商工会議所は、小田原・箱根の企業を応援しています。


2020年 6月号

未来が一足先にやって来た

 緊急事態宣言は解除されたとはいえ、コロナという見えない相手とどう付き合っていくかの慎重な試行錯誤は続きます。
 感染を防ぎつつ売上を上げるためには、よりいっそうの衛生対策が必要です。県が提唱している「ガイドライン」「感染防止対策取組書」「LINEコロナお知らせシステム」などを活用していきましょう。そして、単に従前に戻るだけでなく、加えて新しい商売の形、ビジネスモデルも考えていくべきでしょう。当所では通販のポータルサイト「小田原箱根オンライン百貨店」という新しい取組みに挑戦していきます。ぜひ、ご出店ください。
 もう一つは働き方の問題です。在宅勤務だったり、テレビ会議だったり、今までやったことのない仕事の仕方にチャレンジしている会社は多いと思います。当所でも、万が一職員が感染しても会員さんへのサービスを止めないために、職員を2つのチームに分け、交代で出勤と在宅勤務をさせたり、会議はできるだけテレビ会議に切り換えたりといろいろ挑戦しています。やってみたら、意外とやればできると実感された方々も多いかと思います。当初の感染防止策という視点に加えて、中小企業、小規模事業者の現場では遅れていると言われている生産性を上げ、より働きやすい環境を整備するという意味の真の働き方改革のチャンスでもあります。

 働き方に留まらず、暮らし方、生き方にも大きな影響があると思います。テレワークやテレビ会議をしてみて、多くの人が、特に首都圏では今まで満員の通勤電車で朝晩時間をかけて会社に行き来することの意味を考えて始めているのではないでしょうか。付加価値を生まず、疲労しか生まない時間と営みに疑問を持った人は多いと思います。あのせまいところ(東京)に1200万人がひしめき合っていること自体がおかしいと感じ始めた人は多いと思います。物理的に移動するということの意味も然りでしょう。
 小田原・箱根のような「適度な田舎」にいると、これからは小田原・箱根の時代かな?と思います。普段は、自宅でもコワーキングスペースでもテレワークで働き、週のうち1か2日だけ東京の会社に出勤するというような働き方がもしできれば、小田原・箱根ほどいい場所はありません。まず、満員電車での通勤がないので、自宅なら、コワーキングスペースでも徒歩か自転車で、通勤時間は限りなくゼロです。定時に終わったら、自由になる時間はたっぷりとれそうです。海岸をジョッギングしてもいいし、習い事でもいいし、もちろん、家族との時間、まちづくりの活動やボランテイア活動でもいいし、週末は箱根に上がって景色を観たり、ホテルで朝ごはんをたべたり、ゴルフ場は近いし、川に釣りに行っても庭いじりでも…。家も小さな菜園付き一戸建ても夢ではありません。もちろん、駅に近いマンションも便利です。新幹線で全国どこへ行くにも便利ですし、羽田空港へはドアツードアで一時間です。そのうちに会社ごと小田原・箱根に引っ越してくる例も増えてくるかも知れません。
 そのような形で小田原・箱根に暮らし、働く人が増えることは、地元にとってもお客様が増えるわけですからプラスです。観光の交流人口に加えて、人口が減っていくこの国でも、定住人口、関係人口を増やすことは小田原・箱根なら可能です。そんな視点でのまちづくりがここ小田原・箱根なら有望です。

 こんな小田原・箱根に住むと、つまりライフスタイルを変えると、使うエネルギーは大幅に減ります。食するものも地産地消が増えます。自分が暮らす場所に興味・関心が湧き、自然と持続可能な地域とか社会とかについて考えるようになります。すると、顔の見える関係(うっとうしくなる時もありますが 笑)をベースにいろいろな地域貢献活動も始めるようになるかも。
 そんな心に余裕があるライフスタイルに慣れてくると、豊かさとは何か?とか、お金とは何か?などという根源的な問いに気が付いてしまう人も増えるのか知れません。

 人々の暮らし方、働き方が変われば、企業は人材の確保のために、また、顧客の支持を受けるために、自らの行動も変えざるを得ないと思います。これまでの炭素社会から脱炭素社会へいう社会全体の変革と気候変動に対するアクションは表裏一体であり、気候変動対策としての脱炭素というのともちょっと違う新しい時代への入り口にいるのかも知れないと感じるこのコロナ禍での日々です。
 もしかしたら、このコロナのせいで、私たちはこれから迎えるはずだった未来を図らずも一足早く見せられているのかも知れません。
入会のご案内

意見・要望活動

意見・要望活動

ページの先頭へ