小田原箱根商工会議所は、小田原・箱根の企業を応援しています。


2022年 6月号

脱炭素は金がかかる?

 気候変動対策や脱炭素に関する議論で必ず出てくる意見は「脱炭素は必要とは思うが、金がかかるから難しい」というものです。気候変動は地球規模の危機であり、その対策は待ったなしの喫緊の課題であることは間違いないと思います。が、同時に、大きなビジネスチャンスでもあると捉えるべきではないかと思い始めています。
 「金がかかる」ということはお金が動くということです。誰かの支払いは誰かの収入になります。つまり、そこで経済が動くということです。
 今日の損益計算表上のコストと見るか? 将来への投資と見るか? 私たち経営者自身の意識改革と併せて、国や行政には将来の投資を促す施策を期待するところであります。

 岸田首相は5月の「クリーンエネルギー戦略に関する有識者懇談会」で、脱炭素分野で少なくとも10年で150兆円超の投資が官民で必要と指摘し、必要な政府支援額として20兆円規模との試算を示し、GX(グリーン・トランジション)経済移行債で先行して調達すると述べたと報道されています。政府が長期にわたる大規模な支援策を示し、企業が安心して投資できるようにする仕組み作りの必要性、例えば、脱炭素につながる設備投資に対し、初期の補助金を高くし、段階的に引き下げていくことなどを検討し、企業の早期投資を促すことにも言及したと。GX(グリーントランスフォーメーション)という言葉をこれからよく聞くことになりそうです。

 大いに期待したい政策ではありますが、その原資は誰がどう出して最終的には誰が負担することになるのか? そして、その政策によってお金がどこからどこへどう廻っていくのか? が大変重要だと思います。
 大企業の間だけでは廻すのではなく、あるいは、海外に流れ出してグローバルマネーを潤すのではなく、地域の暮らしと経済を下支えする私たち地域の中小企業に廻ってくるような仕組みとルールが求められます。
 なぜなら、市中に出回る資金(マネーストック)は順調に増え続け、特に2015のアベノミクス以降のマネタリーベースでは急増しているのにも拘わらず、さらにはコロナの支援金や補助金が支給されているのにも拘わらず、私たち地域の中小企業では手元のお金の潤沢感を感じられないということは、お金がどこかに偏在し、世の中全体には廻っていないという状況が続いているからでしょう。国の積極的な財政出動が、やる気のある中小企業の隅々まで廻るような仕組みとルールを期待します。

 気候変動をビジネスチャンスにつなげていくノウハウやアイデアを共有するために、当所では「気候変動タスクフォース(古川剛士委員長)」が中心となり、全会員を対象とする顕彰事業「気候変動アワード」がキックオフされました。脱炭素、省エネ、省資源、脱プラ、食糧ロスなどテーマは様々かと思います。ご関心を持っていただき、我こそはと思われる方は、他の会員さんへの参考にもなりますので、ぜひご応募ください。皆で智惠を集め、力を合わせてまいりたいと思います。

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