小田原箱根商工会議所は、小田原・箱根の企業を応援しています。


2023年 9月号

スポーツの力

 男子バスケットボールはワールドカップのベスト16は逃したものの、見事アジアNo1となり来年のパリオリンピックへの出場権を獲得、その間にも大リーグでは大谷選手の話題で持ちきり、そして、ラグビーのワールドカップが開幕と、スポーツで大いに盛り上がっているこの夏です。お金や利権にまつわるよからぬ噂を耳にする一方、一流のアスリートの素晴らしいパフォーマンスや心温まるスポーツマンシップなどを観るにつけ、スポーツには人を感動させ、世界そこここでの不安定な国際情勢が現存する中でも、国を超えて人と人をつなぐ力があることを信じたいと思います。
 スポーツとまちづくり、つまり、地域の暮らしの血流である地域経済を下支えする私たち中小企業が元気で頑張れる環境整備という意味でのまちづくりに、スポーツはどう貢献できるかを考えてみたいと思います。
 
 単純に大きなショッピングセンターや工場ができれば、人が集まり、まちがにぎわい元気になるという時代は昔の話のように思います。日本全体で人口が減る中、既存のお客様の取り合い、働き手の奪い合いが生まれてしまい、単純に地域経済の好循環につながるかどうかは疑問です。これから地域に人とお金を呼び込むのは、健康・ウエルネス、アート、そしてスポーツではないかと思うのです。
 
 人と人をつなぐ力のあるスポーツによるまちづくりに期待したいと思います。大いに盛り上がった2019年のラグビーワールドカップ、コロナで残念な形になったしまった東京オリパラでしたが、それら契機に、市内のスポーツ団体、観光団体、経済団体、行政が協力してスポーツを通じたまちづくりのためのプラットフォームづくりについて議論を重ねています。新たな組織の立ち上げには時間がかかりそうなので、まずは、小さくともいいから具体的にできることから取り組んで実績を積み重ねていこうと動き始めました。
 
 当所では、5月に(株)湘南ベルマーレフットサルクラブと連携協定を結びました。ベルマーレフットサルクラブは、Fリーグでの日本一とアジア制覇を目標としつつ、同時に地元密着のクラブを目指し、1.社会貢献活動 2.若年層の人財育成に力を入れています。当所とベルマーレの間でこのふたつの軸での具体的な連携事業の準備をしています。(人財育成についてはまた次の機会にお話しします)
 
 ベルマーレは積極的にこの地域での課題解決につながる社会貢献事業に取り組んでいます。例えば、地域の障害者施設である社会福祉法人 一燈会さんと連携して、ハンディキャップのある人の就労支援や活躍の場として、クラブの選手やサッカースクールに通う生徒らも参加し、耕作放棄地で作物を生産し、商品のブランド力強化や収穫作業、販売機会の提供といったサポートを通じ、競技以外の社会貢献事業を展開しています。その取り組みが評価され、スポーツを切り口にしたビジネスや地域課題解決など、社会分野への取り組みを表彰するスポーツ庁主催の「イノベーションリーグコンテスト2022」で、最高賞となる大賞をスポーツ団体として初めて受賞しました。(2020はアシックス、2021はGOOGLEが受賞)。農業や福祉といった領域を超えた連携によるスポーツが持つ可能性の大きさを示した好事例だと思います。ベルマーレは現在10のプロジェクトに取り組んでいますし、5年後にはその数を160にまで伸ばしたいという計画です。 
 こんな取り組みに当所の会員企業の皆さんにも連携・参画していただけたらと思っての今回の連携協定です。そのことによって地域の中小企業にとってはハードルが高いと思いがちな社会貢献活動にも取り組みやすくなると思います。これからはSDGsやESGが企業活動の規範になります。会社の規模や業種業態に拘わらずに取り組んでいくことが要請される時代になってきました。
 
 具体的な取り組みの第一弾として、10/5に久々に当所主催のチャリテイ-ゴルフコンペを開催します。当日集まったお金でベルマーレフットサルのチケットを用意し、今回は市内の児童養護施設「ゆりかご園」で暮らす子供さんたちを試合にご招待します。試合に先だって、ベルマーレの選手とともに、当所のスポーツタスクフォースのメンバーがゆりかご園を訪問し、チケットをプレゼントするとともに、応援の練習をするなどの交流をした上で試合を観て一緒に応援してもらおうという企画です。まずはささやかな取り組みですが、今後は会員の皆さんにも関わっていただきながら、活動の幅と深さを充実させていきたいと思っています。
 
スポーツを自社のビジネスにどう活かすか?スポーツの力を自社の課題解決のどうつなげるか?スポーツをまちづくりにどう活かすか? 地域の中小企業にとっても単なるスポンサーとしての金銭的なサポートに留まらず、自社のビジネスのチャンスだと捉えるべきだと思うのです。

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