小田原箱根商工会議所は、小田原・箱根の企業を応援しています。


2023年 11月号

国際感覚を持つ

 国際情勢が不安定さを増しています。歴史を遡れば、「戦争はしてはならない」という正論とは裏腹に、いつの時代も戦争の繰り返しです。あれほど悲惨な状況を繰り返していながら全く学ぶことができていない人類です。
 私たち中小企業の経営に関わる者も直近のウクライナとロシアの遠い地球の裏側の争いが、原材料や食料、あるいはエネルギーの不足や価格の高騰、市場やマーケットの喪失などなど私たちの日々の暮らしや商いに大きな影響を与える自分ごとであることを思い知らされています。さらにイスラエル、パレスチナとその周辺の中東諸国の問題では、その根っこの深さを知れば知るほど、解決の難しさに暗澹たる気持ちになります。
 我が身を振り返れば、310万人という犠牲者を出して終わった太平洋戦争は、その当時のことを実体験としてご存知の方も多くご存命である、たった80余年前のつい最近の出来事です。それから今までの80年間、この国は公には戦争をせず、戦争で犠牲者を出していません。その要因は何でしょう? 憲法9条? アメリカの核の傘? 単なるラッキー? 私は平和ボケという言葉は好きではありませんが、自分の国が国際関係や外交という視点で世界の中でどれだけユニークで、(様々な社会問題は抱えつつも)どれだけ平和で安心して暮らせる国なのかを改めて知ること。そして、この混沌とする国際情勢の中にある今こそ、唯一の被爆国として大きな犠牲を払って学んだはずの私たちは、この80年の平和の意味と重さ、そして、そういう国だからこそ、日本が世界の平和にどう貢献していくべきか、どう行動すべきかを私たち一人ひとり自分ごととして考える時だと思います。
 戦争はお互いの正義のぶつかり合いです。自らの正義を主張するばかりでは争いはなくならないし、勝ったほうが正義となるのは歴史の常です。そう思うと、敵味方を明確にして敢えて対立と分断の道を選ぶのは果たして賢い選択なのかという疑問も湧いてきます。
 
 様々な問題を抱えつつも平和で安心なこの国に暮らす私たちはちょっと内向きな思考に陥っているように思えてなりません。少しばかり視野を広げて目線を上げて、世界との比較において今日本がどういう状況にあるのかを皆で考えてみたいという思いで会議所の会頭が会長を務める「小田原海外市民交流会(略称OIFA Odawara International Friendship Association)」が主催する講演会(12月2日 13:00-@国際医療福祉大 小田原キャンパス)のご案内をさせていただきます。
 この会は小田原市と姉妹都市(1981年締結)であるアメリカカリフォルニア州チュラビスタ市との青年交流事業を中心に活動をしていました。ほぼ40年間に亘り、毎年小田原から若者(18歳~28歳)4名を親善大使として現地に派遣、交流と学びの2週間を過ごすというプログラムです。もちろん、チュラビスタからの派遣青年を同じように受け入れています。お互いの家にホームステイをして家族ぐるみのお付き合いをします。しかし、現在はコロナの影響でリアルな交流は中断しています。早い時期の再開を期して調整中です。その間もつながりを保つべくオンラインでのチュラビスタツアーやらイベントを実施しました。
 そんな中、目線を落としてみたら、小田原に在住の外国人が多いことに気がつきました。海外市民交流と言うなら、まずは身近にいる外国の方々との交流の場を創ろうと昨年度から「YOUはどうして小田原に」というタイトルでイベントを開催しています。今まで2回開催、来年の1月には三回目を予定しています。小田原在住の外国の方数名に集まっていただき、OIFAのメンバーとの懇談の場を持つことを通じて気軽に話せる常設のコミュニテイーを創ることを目指しています。
 さて本題の講演会です。「世界の中の日本、日本の中の世界」を知るという趣旨で、講師には、順天堂大学医学部教授のニヨンサバ フランソワさんをお招きします。フランソワさんはアフリカのルワンダ出身です。平和な国に生まれ暮らす私たちにとっては想像を絶するような半生を過ごし、今、日本で教鞭を取りながら研究活動をされています。今の日本では想像できないような過酷な境遇に生まれ育ち、中国の大学で医学を学んでいた時に起こったのが、天安門事件と母国での大虐殺。国と国の狭間で自力ではいかんともしがたい状況下を生き抜いてこられた彼のお話をより多くの市民の皆さんに聴いていただき、世界の中での今の日本を考えるきっかけにしていただければと思っています。一市民として、経済人として、学生さんとしてぜひ、聴いて欲しいと願っています。
https://www.city.odawara.kanagawa.jp/field/lifelong/exchange/i-exchange/ko-19082.html
(お問合わせは、上記まで小田原市文化政策課 電話 0465-33-1703)

追申:地域の経済団体である商工会議所も国際感覚を磨き始めることが必要と考えています。残念ながら現状では海外から小田原箱根での商売についての問い合わせが来ても、それに応える機能や能力はありませんし、逆に小田原箱根の会員さんが海外で事業展開を考えていてもそれを支援する機能も能力もありません。WEBやインターネットで海外と直接コミュニケーションがとれるようになった今、地域の商工会議所もそろそろ国際性を問われる時代になったと思います。どんな役割と機能が求められるのか検討を開始しました。

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