2025年 2月号
対岸の火事ではなく
トランプ大統領が成功を夢見る20代からトップに上り詰めるまでの道のりを描いた「アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方」という映画の中の逸話が話題になり始めています。ひ弱だった若きトランプを鍛えた指南役の豪腕弁護士がいたのだそうですが、彼の教えは次の3つ。
その1.攻撃、攻撃、攻撃
その2.決して非を認めるな
その3.勝利を主張し続けろ
トランプの言動を観ていると、まさにそれらを忠実に実践しているように思えます。自らの正義を主張し、相手を否定し、対立を煽り、反対者を徹底的に攻撃し、マイナスのエネルギーを巻き散らかして・・・と。過去にも現在にも世界にも同じようなリーダーが散見されます。弱い者が自身を強く見せ、生き抜いていくためには有効な教えなのでしょう。が、しかし、人生でいろいろな経験を重ね、ある程度の社会的地位や権力や財力を手に入れるに従って、気づきを得て行動を変えていくのが「人が成長する」ということではないでしょうか? 自分が尊敬されたいなら、他者を尊敬することから始めたいと思います。
またまた、トランプネタで恐縮ですが、ビジネスで大成功しているアメリカの大富豪が挙って、手のひらを返すようにトランプの元に尻尾を振って駆けつけひれ伏す姿を観るのも、決して気持ちいいものではありません。経営者としての矜持とは何かと考え込んでしまいます。
比べるべきもなく小職はアメリカの大統領や大富豪の足元にも及ばないちっぽけな経営者ではありますが、共に働いてくれる社員に、お取引先に、そして、地域に支えられながら、お客様という社会の役に立つために商いをしていうという感謝と使命感を忘れずにいなければと、改めて思うきっかけを与えてくれた他山の石であります。
今月は自戒を込めての青臭い話になってしまいました。「世の中そんなに甘っちょろいものではない」という声が聞こえそうですが。
企業経営者の端くれとして、これからも、泥臭く、しかし、品格を忘れずに、商工会議所の活動を進めてまいりたいと思います。