2025年 9月号
「スポーツを通じたまちづくり」
酷暑の中、今年も高校球児のひたむきな姿とドラマのような試合展開に大いに盛り上がった甲子園でした。高校野球に限らず、スポーツは人を感動させ、人と人をつなぐ力があります。その力をまちづくりに活かさない手ないと思うのです。
「商工会議所がなぜスポーツなのか?」について触れたいと思います。私たち地域の中小企業が元気でないと地域も元気になりません。同時に、地域が私たちが頑張れる環境であることが必要です。私たち商工会議所の重要な役割は、3200社の会員企業さんの商売繁盛のお手伝いと並ぶ、私たちが頑張れる環境を整備するという意味のまちづくりです。私たちのいうまちづくりとは、地域に人とお金を呼び込み、人をつなぎお金を廻すことだと思います。そのためにスポーツの持つ力を活用したいと思うのです。
ありがたいことにこの地域は様々なスポーツが既に活発です。ただ、スポーツを通じたまちづくりを実現するためには、スポーツの枠を超えて、様々な人や団体が連携することが必要です。例えば、2019年のラグビーワールドカップの強豪オーストラリアチーム「ワラビーズ」のキャンプ地の招聘を期に天然芝に整備された城山競技場では今、関東大学対抗の公式戦が年数回開催されています。ただ、残念なことにラグビーファン以外にはあまり知られていませんし、せっかく観戦に市外から来てくれたファンも試合後はそのまま帰ってしまう。ささやかなことかも知れませんが、チケットの半券を持って帰りに駅前の店で一杯ビールを飲んでもらうとか、何かお土産を買ってもらうかとか、何か少しでもお金を落としていただける仕掛けがあってもいいのではと思います。それは多分、ラグビー関係の団体だけでは難しく、商店街や観光団体やわが商工会議所などが連携する必要があるでしょう。
また、9月15日開催の第二回目の「箱根ゴルフフェステイバル」もスポーツを通じたまちづくりの取り組みの一環です。私は、今は下手っぴーですが、学生時代に打ち込んでいたこともありゴルフ歴だけは半世紀ほどで結構長く、いつも思っていたのですが、スポーツを通じたまちづくりの視点で地域資源としてゴルフ場を捉えてみると「もったいない」と感じます。あれだけ手入れされ、景観もよく、安全で安心な場所が、ゴルフをする人にしか意味も価値もない場所になっています。旦那さんがゴルフ好きでもゴルフをしない奥さんは一生に一回もゴルフ場に行ったこともないとケースも多いのではと思います。
箱根ゴルフフェステイバルは、青年部の企画・運営による「できるだけ家族で来てください。ゴルフファーは女子プロのワンポイントレッスン付きのコンペ。ゴルフをしたことがないご家族は女子プロによる「スナッグゴルフ」という初心者向けのプログラムで初めてのゴルフ体験。途中では地場産や会員企業のブース、音楽など。そして最後には全員で表彰式とパーテイー。」と盛りだくさんに家族で一日楽しんでいただくという企画です。ゴルフに関心を持つ人を増やし、ゴルフをやる人(=ゴルフのお客様)を増やすとともに、ゴルフ場の新たな活用方法を皆で考え、ゴルフ場という地域資源の有効活用につないでいくことを狙った取り組みです。
スポーツを通じたまちづくりとしては、それら以外にも、(株)ベルマーレフットサルクラブと連携協定を結び、人財育成事業「B-SHINE」や社会課題解決などに取り組んでいます。
そして、目指すところは、上記のような具体的な取り組みを重ねながら、スポーツ関係の団体に商業や観光団体や、場合によっては教育団体や住民の方々も加わり、連携協力して、スポーツを通じたまちづくりの取り組みを可能にするプラットフォームづくりです。
私たち地域の中小企業の商売繁盛の環境づくりとして、スポーツで地域の人とお金を呼び込み繋ぎ廻すためにスポーツの力を借りたいと思います。