2025年 12月号
「政府に期待すること」
新しい首相の所信表明演説(2025年10月24日)を改めて読み返してみました。
https://www.kantei.go.jp/jp/104/statement/2025/1024shoshinhyomei.html
「出典:首相官邸(第219回国会における高市内閣総理大臣所信表明演説)」
その中で地域経済に関する項目を探してみました。
「事を論ずるには、当(まさ)に己れの地、己れの身より見(けん)を起こすべし、乃(すなわ)ち着実と為す」という吉田松陰先生の言葉を引用されているにも拘わらず、残念ながら、地域のことはほんの少しで、特に地域経済循環、あるいはそれに類することに関する言及は見当たりませんでした。
9.地方と暮らしを守る(地域未来戦略)の項目においては、熊本や北海道での半導体ビジネスの、政府による大規模な支援による企業誘致を成功例として、全国各地にヨコ展開することを提唱しています。また、中堅企業に対しては、大胆な投資促進策とインフラ整備を支援することで、地方に大規模な投資を呼び込み、地域ごとに産業クラスターを戦略的に形成し、地域を越えたビジネス展開することとし、それを「地域未来戦略」として位置づけています。
どちらもその意義を否定するものではありませんが、地域の暮らしの血流である地域経済を下から支える地域の小規模事業者を含めた中小企業への目線はそこには感じられません。企業数の99.7%、雇用の70%、GDPの54%を担う地域の中小企業の目線からは違和感を覚えます。
この国全体の経済規模が拡大していた時代、つまり、戦後の復興からの高度経済成長の時代には、確かに大企業が潤えば、いわゆるトリクルダウン効果(あるいは、シャンパングラス効果)で、末端の中小企業や小規模事業者もその恩恵を受けるということがありました。が、今や時代は変わりました。大企業が業況よくなっても、その恩恵は中小企業には及ばず、却って大企業と中小企業の間での格差が拡大しています。日経平均の株価が空前の高値を示しても、中小企業の経営の現場にはほとんど無関係です。
また、この国で流通している資金、マネーストックも、大企業の間、あるいは海外で廻っているだけで偏在し、地域へ、地域の中小企業の現場には充分に廻ってきていないという実態を踏まえれば、いかにその資金を地域で廻すかという視点に立った政策が望まれます。
また、6.エネルギー安全保障では、地域経済循環の視点はほとんどなく、地域から漏れ出しているエネルギーコストをいかに減らしつつ、気候変動・脱炭素への対応するための施策は見当たりません。中小企業の省エネ推進と地域での再生可能エネルギーの地産地消の促進を支援する施策が待たれます。
政府の政策に期待しつつも、期待しすぎずに、当所は、それぞれの3200社の会員企業さんの商売繁盛のお手伝い(個社支援)と、私たち地域の中小企業が活躍できる環境整備(まちづくり)に、引き続き地道に邁進していかねばと改めて思う年の終わりです。


会員検索
交通のご案内